鼠経ヘルニアの手術でした。

今日の診察室

鼠経ヘルニアという病気があります。先天的疾患ですが、股の付け根に鼠経輪という穴があって、雄犬はその穴を通って胎児期には、お腹の中にあった睾丸が、通常の位置におりてきます。生後はほぼその穴は塞がるのですが、生まれつき塞がっていない子がいます。その穴から、お腹の中の臓器が出てくると、股の付け根が膨らんできます。鼠経ヘルニアという病気です。メス犬の方が多いようです。

ヘルニアの穴から、膀胱、腸管、子宮などが出てくると、色々な問題が出てきます。今日のワンコは7歳のオス犬で、健康状態には全く問題ありません。股の付け根の膨らみは、トリミング先で指摘されたそうです。それまでは、異常に気付いていませんから、急に膨らんできたのでしょう。

手術は、腫れた部位を切開して、孔を確認して、塞ぐ手術ですが、部位を切開すると、ポコンと膀胱が出てきました。排尿困難という症状はありませんでしたが、このままにしておくと、いつか、膀胱が反転して戻らなくなって、「何度も、排尿の格好をするのですが、オシッコが出なくて、股の付け根が大きく膨らんでいます」という、緊急事態になったかもしれません。発見してくれた、トリマーさんに深謝ですね。

写真は、術後2時間目位のワンショットです。鎮静薬で、まだ、ショボショボしてますけど、人懐っこい子で、私が近づくと、尻尾をソヨソヨと振ってましたよ。明日の朝、退院です。